
いろいろな看護師さんをご紹介しているコーナーですが、きょうは手術室看護師を長くやっていらっしゃるかたからお話を伺います。お話しして下さるのは手術室看護師キャリア10年のJ子さんです。

はじめまして。J子です。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。いまどのような部署にいらっしゃるのですか?

大学病院の脳外の手術室看護師です。

いわゆるオペ看っていわれているところですね。脳外とは脳外科でいいですか?

ええ。

長くやってらっしゃるのですか?

もう15年になるでしょうか。

脳外科一筋ですか?

脳外の前は、私は心外におりました。

そうですか。心外って心臓外科のことですよね。

はい。看護師はいろいろな部署を担当させられますね。

医師は専門の分野でやっていらっしゃいますが、看護師はそうではないのですね。

そうですね。医師と違って看護職はいろんな部署をまわされますね。

J子さんは、最初から手術室看護師でいらっしゃったんですか?

いいえ。病院入職当時は病棟看護師でした。次の人事異動で、手術室勤務になりました。

J子さんご自身が手術室勤務をご希望されたのですか?

いいえ。とくに希望はありませんでしたね。正直、右も左もわからない者でしたので。

ということは、病院の人事がすべて決めているってことですか?

はい。そうだと思いますよ。ただ本人が強く希望されれば、そうなるかもしれませんし、逆に、本人が希望されなくても、そうなるかもしれませんし・・・適性もあるかもしれませんが、後は、病院の都合で人事を回していると思いますよ。

そうですか。わかりました。さて、手術室看護師のお仕事を詳しくお話いただけますか?よくテレビドラマであるように、先生がハサミと言ったら、ハサミを渡したり、ピンセットと言ったら、ピンセットを渡したり、とかですか?

そうそう、それはいわゆる器械出しというお仕事ですね。他にも外回りというのがありますけれども。器械出しのイメージが分かりやすいですね。その器械出しですけれども、ただ先生が何々と言われてから、その器具を渡していたんでは、遅いんですね。手術の流れをしっかり見極めて、先生が次に何を必要としているかを察知して手術器具を早め早めに用意していかなければならないんですねよね。

そうなんですか。いや、勉強になりました。

また手術器具も、それはそれは半端なくたくさんありますからね。その名前や形を覚えなきゃいけませんね。ハサミだっていろんな形のハサミがあって、それぞれ名前が違いますからね。

はい。そうなんですね。たいへんですね。

ええ、それに、手術にはすでに決まった術式というものがあって、その術式に従って手術は行われます。ですから術式の知識は必要ですね。

そうですか。するとやはり、手術室看護師には、大卒でなければならないというような規定なんかがあるんですか?

いいえ。学歴は関係ありません。私は医学部の看護学科を出ましたが、専門学校卒業で手術室看護師のかたもいらっしゃいます。

そうですか。

実は、私、はじめは看護専門学校に入学しました。その専門学校卒業と同時に医学部看護学科に編入しました。

そうなんですか。専門学校と4大とは違いましたか?

基本的には違いはないと思います。どちらも看護師国家試験を受けられますので。ただ病院実習には違いがあったかもしれません。

違いと言いますと?

う~ん。実習病院の違いかな?医学部看護学科では医学部附属病院で実習しました。そこは高度医療もありましたし、救急もありましたし、なんか凄いなと思いました。出来るのだったら、私、こういうところで働きたいと正直に思いました。

思いが叶ったわけですね。

って言うとカッコイイですが、まあとっても緊張する現場なんで、早く家に帰れるようにしたいんですね。本当は。

そうですか。そのお仕事、やりがいもあっていいですね。

はい。そうですね。

じゃー、J子さんは、このまま異動がない限り、手術室看護師を続けたいというお考えですか?

出来れば、そうしたいですね。ただ・・・

ただ、何でしょうか?

私の知り合いが勤めている病院なんですが・・・

ええ。お知り合いのかたがお勤めの病院がどうなさったのですか?

賞与がカットされたというのです。医師もコメディカルさんたちも・・・

コメディカルというと、看護師さんもですか?

いいえ、看護師は据え置きだったと言うんですが・・・

そうなんですか。

私の所もね、ずっと安泰というわけにはいかないと思うんですよ。別の科ですけど、これを機に開業する医師もいますしね。それに引っ張られて、ついていく看護師もいますしね。なんか不安なんです。

そうですか。不安を感じていらっしゃる。このところ病院経営も大変ですね。そういえば、この間、ある有力な総合病院が地方の病院を吸収したという記事を見ましたね。また、以前に診療報酬を担保に、お金を借りている医療機関があるって噂で聞きました。あくまでも噂なので、本当かどうかわかりませんけれども。

そうなんですよね。力のある病院は益々強くなっていくでしょうし、そうでないところは、どうなっちゃうんでしょうね。

J子さんの病院は大丈夫でしょう。

そうでしょうか。そうならいいですが・・・ただね、じっとこのままでいたら、私、ヤバいかもって思うんです。じっとしてしているより、少し動いてみようかしらなんて・・・私、そろそろ次のキャリアアップを考えてみようかなって・・・

キャリアアップですか?

日本看護協会に手術看護の認定看護師っていうのがあるので、私、それに挑戦してみようかなって思い始めているんです。まあネットでいろいろ調べてみてからですけどね。

いや~、キャリアをもっている看護師さんも不安なんですね。そろそろお時間が来たみたいなので、今回はここまでということで。またお越し下さいね。その後のお話をぜひお伺いしたいと思います。きょうはありがとうございました。

ありがとうございました。